2017.11.07 マカオの世界遺産・聖ポール天主堂跡の秘密を解明!これであなたもマカオ通

世田谷区の約半分の大きさしかないマカオですが、実は街中には30個もの世界遺産があり、その中でも『聖ポール天主堂跡』は一大観光スポットとなっています。かつては「ローマ以東で1番美しい教会」と称されていただけあって、現在のファサード(正面部分)のみになっても美しさは健在。日夜多くの人を虜にしています。

そんな聖ポール天主堂跡ですが、観光中って意外と時間がタイトで写真を撮って「はい、次!」なんてことになっていませんか?「聖ポール天主堂はなぜこんな状態になってしまったの?」「ファサードに彫刻されているあれは一体なに?」等あらかじめ知っていれば、感動も深まるはず!

ということで、今回はファサードに隠された秘密を解き明かしていきたいと思います!

 

聖ポール天主堂跡とは?

1582年に聖アントニオ教会付属の礼拝堂として建てられましたが、1601年に火災で焼失してしまいました。翌1602年より再建がはじまり、1640年ようやく完成。その姿は「東洋1壮大で美しい教会」として賞賛されていましたが、完成から195年後の1835年、再び火災に見舞われ、ファサードと68段の階段だけが残った現在の姿になってしまいました。

  歴史的キーワード

ちょうど2度目の建築が行われていた1613年、日本では徳川家康が禁教令(ある宗教を信仰したり布教したりすることを禁ずる命令)を公布し、翌年にはキリスト教徒を国内から追放したため、日本人画工や職人を含む多くのキリスト教徒がマカオへ辿りつきました。彼らはイタリア人イエズス会士カルロ・スピノラの指揮のもと、地元の大工さんと一緒にファサードの彫刻作業に取り組み、技術的にも大きく貢献したそうです。それをふまえて観賞してみると、発見がたくさん!

 

【聖ポール天主堂跡】

 

ファサードを徹底解明!

ファサードの彫刻は全部で5層に分かれており、ペディメント(西洋建築における屋根の三角形のところ)部分は天国の世界4層目は少年イエスの世界3層目は聖母マリアの世界2層目は聖者の世界、そしてかつて教会の入口であった1層目は現実の人間世界を表現しているそうです。

 

ペディメント - 天国の世界

キリスト教の世界で精霊を表す鳩が中心に置かれ、鳩の周りには4つの星、左側に太陽、右側に月が彫刻されています。 

 

4層目 - 少年イエスの世界

中央に少年イエスの像が置かれ、それを囲む枠内にはユリと菊の花が彫刻されています。周囲には受難(キリストが十字架にかけられて受けた苦痛のこと)の際の品々が配置され、その左右には翼のある大天使が配置されています。

受難の品々:左側>釘抜き・金槌・ムチ・イバラの冠・長槍

      右側>はしご・3本の釘・藁・ローマ帝国の旗

  日本の象徴である『菊』が彫刻されているところから、日本人が建築に携わった形跡が!

 

3層目 - 聖母マリアの世界

中央に置かれた聖母マリア像のまわりには6名の天使がデザインされており、上からそれぞれ祈る天使、楽器を演奏する天使、香を炊く天使となっています。天使の穏やかな表情にも注目です!

聖母マリア像の左側には、生命の泉、嵐の海を航海する大型船と聖母マリア、矢で打たれて苦しむ悪魔が彫刻されており、悪魔の横には「悪魔や鬼は人を悪の道へと誘惑し続ける」という意味の『鬼是誘人為悪』の文字があります。教会の壁に漢字が彫刻されているところから、マカオらしさを感じますね。

  かつて港街として栄えたマカオならではの、海の安全を願うモチーフが彫刻されているところに注目です!

聖母マリア像の右側には、生命の樹(菩提樹)、7つの頭を持つ竜を踏みつけるマリア、 矢が刺さったまま横たえる骸骨が彫刻されており、その横には『念死無為罪(死を思わば、罪を犯さじ)』という文字があります。

  『念死無為罪』という文体は中国語としては不自然で、日本人が書いたのではないかとされています。

また西洋では竜は悪魔と認識されていますが、中国では幸福の象徴であり、その竜をマリアが踏みつけているというのは、外国人らしい発想を感じられますね。ちなみに一説ではこの悪魔はキリスト教徒を迫害した徳川家康ではないかと、推測されています。

3層目の両側には笑う獅子の装飾がありますが、こちらは雨どいの役目も兼ねており当時の高度な技術力を知ることができます。

 

2層目 - 聖者の世界

4体の聖者像が置かれ、中央部分には2本のシュロの木が彫刻されています。聖者は左からフランシスコ・ボルジャ、イグナチウス・デ・ロヨラ、フランシスコ・ザビエル、アロイジウス・ボンザーガで、中央2体は聖者、外側の2体は福者となっています。

※聖者、福者とは死後にその功績がたたえられ、列聖または列福されたことを示します。

  日本でもお馴染みのフランシスコ・ザビエルの姿が!教科書に載っていた肖像画と同じ髪型ですね。

 

1層目 - 現実の人間界=教会の入り口

教会の正式名称である『MATER DEI(マードレ・デウス)=天主の御母』という名前が彫られています。

またイエズス会の紋章である『IHS』の彫刻もあります。

 

以上、『マカオの世界遺産・聖ポール天主堂跡の秘密を解明!これであなたもマカオ通』でした。カラッと晴れた青空の中観賞するのも良いですが、夜にはライトアップされ昼間とは違った表情が見れる聖ポール天主堂跡。日本とマカオの歴史を身近に感じられる、オススメの観光スポットです!

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